老骨ろうこつ)” の例文
何かが破裂はれつしたのだ。客はギクリとしたようだったが、さすがは老骨ろうこつだ。禅宗ぜんしゅう味噌みそすり坊主ぼうずのいわゆる脊梁骨せきりょうこつ提起ていきした姿勢しせいになって
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其広大な慈悲心は生きて働き、死んでます/\働き、老骨ろうこつ地に入ってこゝに数十年、其流れをむ人の数は実におびただしい数を以て数えられる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
老骨ろうこつとは思われない若々しい居士こじ語韻ごいんのうちに、仙味せんみといおうか、童音どうおんといおうか、おのずからの気禀きひんがあるので、小文治こぶんじはつつしんで聞いていたが、話がとぎれると
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此の恵み深い青年の左大臣は、一門の年長者たるの故を以て一介いっかい老骨ろうこつに結構な財宝をあまたゝび贈ってくれた上に、今度は自身その邸宅にげると云う光栄を授けてくれるのである。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
たいていのどんな親なら、これだけ聞かされてはおさまるはずがなく、「なにをぬかす、鰻掻きめら」と、ありあうを蹴散らしていきり立つところだが、さすがは老骨ろうこつ、そんな未熟な所為しょいはしない。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「時」の老骨ろうこつ、きしきしと、かずおとぎしりや
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
年久しく風霜ふうそうと闘うてかわは大部分げ、葉も落ちて、老骨ろうこつ稜々りょうりょうたる大蝦夷松おおえぞまつが唯一つ峰に突立つったって居るのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)