義捐金ぎえんきん)” の例文
かの新聞で披露ひろうする、諸種の義捐金ぎえんきんや、建札たてふだひょうに掲示する寄附金の署名が写実である時に、これは理想であるといってもかろう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
オークランドの市民は、イバンスのために義捐金ぎえんきんを集めて一せきのりっぱな商船を買い、これにチェイアマン号と名をつけておくった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そして、日本字新聞は、「龍睡丸義捐金ぎえんきん募集」をしてくれたが、このとき、ホノルルの外国人のあいだには、へんなうわさがひろがった。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
可憐かれんな都会の小学児童まで動員してこの木枯しの街頭にボール箱をくびにかけての義捐金ぎえんきん募集も悪くはないであろうが
新春偶語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
難民がついにアカザまで食べはじめたと聞いて、彼はその栄養価についての専門家の意見をひろくつのった。知友のあいだで義捐金ぎえんきんの募集に努力した。
で早速、彼のために義捐金ぎえんきんを集めることに話がきまった。が、いざ集めてみると、それはきわめて小額であった。
外套 (新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
関東大震災の報がアメリカに伝わった時、第一番に起って、義捐金ぎえんきん募集の演奏をしたのはエルマンであった。
蘇格蘭スコットランドの貧民は一般に、教区牧師の監督の下に分配される義捐金ぎえんきんによって養われている。そして全体として、この義捐金は非常によく管理されているように思われる。
あのひとのために義捐金ぎえんきんを募るとか、あるいは、慈善富くじのようなものでももよおすとか……まあ、そういった風のことをするんですな——よくこうした場合に親しい知人とか
人民の利害休戚きゅうせきをば児戯のごとくに見なし、ただただ開戦論を主張し、ひとりこれにとどまらず、あわせてこれを実行せんと欲し、あるいは義捐金ぎえんきんをなし、あるいは従軍の嘆願をなし
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その翌々日の午後、義捐金ぎえんきんの一部をさいてあがなった、四百余の猿股さるまたを罹災民諸君に寄贈することになった。皆で、猿股の一ダースを入れた箱を一つずつ持って、部屋部屋を回って歩く。
水の三日 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
正兵衛といえるはこの村にて豪家ものもちの一人に数えらるる程の農民なるが、今しも三陸海嘯かいしょう義捐金ぎえんきんを集めんとて村役場の助役はきたりつつ、刀豆なたまめを植えたる畑の中に正兵衛を見つけて立ちながら話す。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして事実また輿論よろんも沸騰して教授クレフトン・エリオット博士に直接宛てて、あるいはまた、各新聞社に宛てて続々として第二回の探検隊に志願を申し込む人々があり、義捐金ぎえんきんを送る人々があり
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
難民がついにアカザをまで食べはじめたと聞いて、彼はこの草の栄養価について、ひろく専門家の意見を募った。知友のあいだに私信を飛ばして義捐金ぎえんきんの募集に努力した。