群雀むらすずめ)” の例文
これがぼくら群雀むらすずめの同級生には、鷲みたいな脅威であった。たびたび皆で歯ぎしりしていたが、どうにも強くて彼の影を見ると逃げ廻るだけだった。
人生を幸福にする為には、日常の瑣事さじを愛さなければならぬ。雲の光り、竹のそよぎ、群雀むらすずめの声、行人の顔、——あらゆる日常の瑣事の中に無上の甘露味かんろみを感じなければならぬ。
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一足ごとに音を高め、ムラムラパッと飛び立つは、稲田を追われた群雀むらすずめ、野川が白々と流れる中に、渋鮎しぶあゆサッと水を切り、そのまま岩に隠れるさえ、秋の寂しさを誘って行く。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
子供達は、よいのうちから、一団の群雀むらすずめのように、部落内の軒から軒を(アキの方からチャセゴに参った。)と怒鳴ってまわるのだが、すると、家の中から(何を持って参った?)と聞き返すのである。
手品 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
鳴子なるこを馬鹿にした群雀むらすずめ案山子かかし周囲まわりを飛び廻ッて、辛苦の粒々をほじっている,遠くには森がちらほら散ッて見えるが、その蔭から農家の屋根が静かに野良をながめている,へびのようなる畑中の小径こみち
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
夕立や草葉をつか群雀むらすずめ
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
人生を幸福にする為には、日常の瑣事さじを愛さなければならぬ。雲の光り、竹のそよぎ、群雀むらすずめの声、行人の顔、——あらゆる日常の瑣事の中に無上の甘露味を感じなければならぬ。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
人生を幸福にする為には、日常の瑣事さじに苦しまなければならぬ。雲の光り、竹のそよぎ、群雀むらすずめの声、行人の顔、——あらゆる日常の瑣事の中に堕地獄の苦痛を感じなければならぬ。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)