縮尻しくじ)” の例文
ひょんな事から、元は家来で、今は兄貴分の弁公が、親分を縮尻しくじると、彼ばかり、もとの土地に居残っているわけにも行かなかった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
私の父親が商賣で縮尻しくじつたとき、孫六さんがこの家の先代を説いてお金を出させ、どんなに骨を折つて下すつたかわかりません。
殺せというのが文面だ! 承まわると八重梅から、お紋め返事を持って来たが、さては邪魔されて縮尻しくじったか! それにしても
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
多分東京で色事か何かで縮尻しくじって落ちぶれて来たんだろう。東京と聞くとゾッとするような思い出があるんだろう。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おめえが、……おめえが行って縮尻しくじったとは、それは、どういう次第で……」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こいつはいよいよ勤め先を縮尻しくじるかな。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ガラッ八は飛んで行きましたが、これは縮尻しくじりました。あんまり多勢入ったので、誰がそんな事をしたかわからなかったのです。
縮尻しくじると惨酷になったろう。だがれは救われている。正直な質朴な表現が、それを救っているのである。
大衆物寸観 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
曲馬場の時はこっちが夢中になっていたから縮尻しくじったが、今度は先手を打つのだから間違いはない。それから二人の眼の前で志免に電話をかけて帝国ホテルと芳月軒に手配をさせてくれる。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「さんざん縮尻しくじったが、今度こそ、大丈夫」
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ガラツ八は飛んで行きましたが、これは縮尻しくじりました。あんまり多勢入つたので、誰がそんな事をしたかわからなかつたのです。
「鏡ちゃんだって意気地がないよ。二度も三度も縮尻しくじったじゃアないか」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私の父親が商売で縮尻しくじったとき、孫六さんがこの家の先代を説いてお金を出させ、どんなに骨を折って下すったかわかりません。
「どんな塩梅あんばい縮尻しくじったんだい?」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
せっかく引受けた大仕事を縮尻しくじってしまって、面目次第もなく、朝の元の大通りへバアと出ると、ちょうど通りかかったのは先ほどの武家
寅松はこれだけの事を聽き込み乍らも、お君で縮尻しくじつてりたか、今度は積極的に動き出す前に、平次に相談して見る氣になつた樣子です。
「へエ、その通りで、父親は御家人でしたが、頑固ぐわんこ過ぎて役目を縮尻しくじり、浪人をして苦勞をしたとお關は申してをりました」
「源三郎は惡賢い奴だが、惡智慧のある奴は、その智慧のために縮尻しくじるのだよ。それにしても、お君は良い娘だつたね、八」
溝口屋鐘五郎の悪辣あくらつな奸策に乗せられて、一つ一つ出入り大名の屋敷を縮尻しくじり、最後にのっ引ならぬ窮境に追い込まれて、自分の命を縮めたのでした。
「無駄を言わずに要心しろ、ここへ追い込めば袋のねずみだ。手前か俺が縮尻しくじらなきゃア、逃げられる場所じゃねえ」
近年主人の徳右衞門が思惑で縮尻しくじり、その上若旦那の徳太郎は、商賣よりは俳諧や學問につて、店の仕事が身につかなかつた爲に、三、四年此方左前になり
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
それは、年は若いが、伝三郎でんざぶろうという鳥刺しの名人で、御鷹役人を縮尻しくじって、やくざ者の仲間に入ったと申しますが、人相を聞くと、徳三郎そっくりでございます
「のべつに縮尻しくじつて居る萬七親分や清吉は平氣でやつて居るぢやありませんか。親分は氣が弱いんだね」
「のべつに縮尻しくじっている万七親分や清吉は平気でやっているじゃありませんか。親分は気が弱いんだね」
縮尻しくじつて主人が夜中に來なければ、窓から金を持つて逃出して、泥棒のせゐにするつもりだつたのさ。
もとの主人を縮尻しくじつて、同流の人からも白い眼で見られるやうになつてゐた鈴川主水は、弟子の佐野松ときね太郎を立派なものにして、同流の人達にアツと言はせたかつた
「甘く考へると縮尻しくじるぞ。一番深い怨みを持つた奴は、一番ねんごろな顏をしてゐるものだ」
良いお役まで附いたのを、私の粗相をかばつてくれたばかりに役目を縮尻しくじり、五年ほど前浪々の身で亡くなりました。その遺言で娘のお夏を引取り、私は娘のやうにして育てました
良いお役まで付いたのを、私の粗相をかばってくれたばかりに役目を縮尻しくじり、五年ほど前浪々の身で亡くなりました。その遺言で娘のお夏を引取り、私は娘のようにして育てました
しかし、この時ほど平次も縮尻しくじったことがありません。手っ取り早く言えば、小永井家に入込む工夫も何もつかぬうち、肝腎の生き証拠の老女加世は死体になってしまったのです。
「何をつまらねえ。縮尻しくじつたら縮尻つたやうに尻尾を卷いてサツサと歸れ、馬鹿野郎」
「八、今日は大事な仕事だ。縮尻しくじるような事があっちゃ、取り返しが付かない」
「八、今日は大事な仕事だ。縮尻しくじるやうな事があつちや、取り返しが付かない」
それから一番いけないのは、店の金を三百兩ほど持出して、私にも相談をせずに、實家の仕事に融通ゆうづうしてしまひ、その仕事も縮尻しくじつてしまつて、取り返すても無くなつてしまひました。
これで熊井熊五郎の百軒から一萬兩盜む大願は成就じやうじゆする。伊勢屋幸右衞門へは三年前に一度押入り、居候浪人白井某と隣の仕立屋駒吉を斬つたが、此方も縮尻しくじつて一文も申受けなかつた。
折角引受けた大仕事を縮尻しくじつてしまつて、面目次第もなく、朝の元の大通りへバアと出ると、丁度通りかゝつたのは先程の武家、——親分の平次が手習師匠に見立てた五十前後の浪人者です。
縮尻しくじつてばかり居る俺が、この酒が呑めるか呑めねえか考へて見ろ」
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
飯田町の伏見屋傳七が死んだのは、噂の通り縊死いし。溝口屋鐘五郎の惡辣あくらつな奸策に乘ぜられて、一つ/\出入大名の屋敷を縮尻しくじり、最後にのつ引ならぬ窮境に追ひ込まれて、自分の命を縮めたのでした。
紋次郎を縛って縮尻しくじった金六の面目はどうなるでしょう。
「や、八の野郎、また縮尻しくじりやがつたかな。おや、おや」
紋次郎を縛つて縮尻しくじつた金六の面目はどうなるでせう。
細工を仕過ぎて縮尻しくじるやうに出來て居る
「平次、またお前は縮尻しくじったのう」
「平次、又お前は縮尻しくじつたなう」
「どうした、又縮尻しくじつたのか」