さし)” の例文
そんな時にお父様は、その頃まであったさしにつないだお金をお座敷に並べたり、又緡につなぎ直したりなさりながら
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこで米友はさしを取って、穴あき銭をそれに差込んでいると、暫くあってお雪ちゃんがその手を抑えるようにして
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さて翌朝になって、いよいよそれを積み込もうとすると、荻のたばがひどく重い。怪しんでその束を解いてみると、さしになっているぜに一万五千を発見した。
下男の圓三郎は、自分の部屋で、さしを作つてゐましたよ。手代の周次郎は、札差ふださし仲間の凉み船に行つて留守。
やッと安心したように手を放して、それから向う向きになって、さしから穴のあいたのを一つ一つ。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その公方さま花の御所の御造営にはいらかに珠玉を飾り金銀をちりばめ、そのついえ六十万さしと申し伝えておりますし、また義政公御母君御台所みだいどころの住まいなされる高倉の御所の腰障子こししょうじ
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
銭百さしを以て樹下に臥して失うた者あり。
不意に組まれて、彼もうろたえたらしかったが、ふところに持っていた一本のさし(銭四百文)をとり出して、それを得物にして相手の眉間みけんを強くった。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その公方さま花の御所の御造営にはいらかに珠玉を飾り金銀をちりばめ、そのついえ六十万さしと申し伝へてをりますし、また義政公御母君御台所みだいどころの住まひなされる高倉の御所の腰障子こししょうじ
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
これらの連中が夜鷹の類を買ひて楽しむ時、玉代として銭のさしを半分に折りて差出すを習ひとするが故に、折助とは申すなり、それ中ごろの折助に二組の折助あり、一つを山の手組といひ
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
掃溜はきだめに鶴の降りたやうな清純な感じのするのが、幾日かとゞこほつた日濟しの金——と言つても、さしに差した鳥目を二本、たもとで隱してそつと裏口から覗くと、開けつ放したまゝの見通しの次の間に
掃溜はきだめに鶴の降りたような清純な感じのするのが、幾日かとどこおった日済ひなしの金——といっても、さしに差した鳥目ちょうもくを二本、たもとで隠してそっと裏口から覗くと、開けっ放したままの見通しの次の間に
(家の奧より助八はさしの錢を持ちて出づ。)
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
さしを折り
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)