緑葉みどりば)” の例文
周囲まはりを白い布で巻いて、前には新しい位牌ゐはいを置き、水、団子、外には菊、しきみ緑葉みどりばなぞを供へてあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ここにある諸〻もろもろの生物無生物は皆蒼白く思われたのである。——それほどここには年老いた樹が厚い緑葉みどりばを四方へばし千本万本数知れず生い茂っているのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
要垣かなめがき緑葉みどりばかこまれた墓があるかと思ふと、深い苔蘚こけに封じられた墓が現はれて来た。新しい墓もあれば、古い墓もある。或は五輪塔型、或は多宝塔型、其他いろ/\な型がある。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
一片ひとへ緑葉みどりば
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
丁度八月の明るい光が緑葉みどりばの間からし入って、雨降揚句あげくのこの墓地を照らして見せた。蒸々とした空気の中で、寺男は汚れた額の汗をぬぐいながら、三つの髑髏の泥を洗い落した。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
里川の水はあおくみなぎって流れている。あし緑葉みどりばに日影がさした。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
胸うち掩ふ緑葉みどりば
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)