ぜっ)” の例文
なぜならば、盲目めくらであり、勘のよいことにおいてりんぜっしている弁信自身が、提灯をつけなければ夜歩きのできないはずはないのです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いやいやながら久米一にびを入れその日に、いよいよ焼くとなった増長天王ぞうちょうてんのうの像をうけ取った。みると、さすがにりんぜっしたできばえである。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
トックの信ずるところによれば、芸術は何ものの支配をも受けない、芸術のための芸術である、従って芸術家たるものは何よりも先に善悪をぜっした超人でなければならぬというのです。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
麗質嬌姿本絶羣 〔麗質れいしつ 嬌姿きょうし もとよりぐんぜっ
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
みちのくの精鋭一万、霊山りょうぜんを立って、白河ノ関を越え、ここまで来ました。前途幾山河いくさんが、なお途々の敵のさまたげは想像をぜっしましょうが、一念、くじけることはありません。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)