)” の例文
これ等はみな、わたしの方がおまえにかれる魅点ばかりを述べたものだ。ところでわたしがおまえに与える魅点の番である。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
犁は非常に軽くて一頭の馬がき、木の株の間を耕す際には、それが低ければ、一般にはその上を持上げて越すのである。
と、その無事を、奇蹟のように驚きながら、駒の前後をおおいくるんで、無二無三、山の深くへきこんで行った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或時はお綾は、秋月九十郎の、逞しくて智的な男振りに関心を持つように見え、或時はまた妻木右太之進の優にやさしき殿御振りに心かるると見えました。
片手に友太郎の手をいて、程近い渡船場ぎわの医者の家へ辿り付いたものだが、その苦心といったらなかったよ。夕方になると市が立って、朝鮮人がゾロゾロ出て来る処だからね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
茲に一層天下の視線をいたのは、早大軍は鼓叟して一高軍の堅塁に迫り、打つて打つて打捲つた結果、見事に之を仆すと一日措いて慶応も亦小気味よく一高を粉砕したことである。
帰途徳田秋声を訪れた、少女が余にはにかながら微笑した。氏の末子であると、センチメンタルな娘であると。氏は浦安に心をかれているようだった。三つの一幕物を置いて来た。分るかしらん。
「何からくの」「保元や平治は、まとまったものもあるけれど、ま、公卿日記だね」「公卿日記」
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東寔の名はあるが、それよりも愚堂でいてごらんなさい。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)