精励せいれい)” の例文
年少、早くも禅に心をひそめ、諸家の門を叩き、工夫をみ、また、文事にも精励せいれいして、号を静山と称し、その二十四、五歳の頃にはすでに
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
技の優劣ゆうれつはとにかくとして春琴の方がより天才肌てんさいはだであり佐助は刻苦精励せいれいする努力家であったことだけは間違いがあるまい。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
休暇になっても、安斉先生は相変わらずご精励せいれいだ。朝から学監室にめている。先生のせきばらいがきこえるきこえないでは若様がたの心得がちがう。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
黄白こうはくに至りては精励せいれい克己こっきむくいとして来たるものは決して少なくなかろう。古人こじんの言にあるごとく
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
今にして当時を顧みれば、なお冷汗ひやあせの背を湿うるおすを覚ゆるぞかし、安藤氏は代々よよ薬屋にて、当時熱心なる自由党員なりしが、今は内務省検疫官けんえきかんとしてすこぶ精励せいれいの聞えあるよし。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
またお差紙さしがみかと開いてみると、「お油御用あぶらごよう精励せいれいでお上も満足、今後とも充分気をつけて勤めますよう?——」言わば褒状ほうじょうである。大岡様からそっと出たものだ。一計といったのはこれである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あるいは馬に乗り槍を提げ数度の戦場に身命をなげうち主恩のために働きたるか、あるいは、数十年役義を精励せいれいし尋常ならぬ績を立てたるか、あるいは武芸人にすぐれたるか、文学世にきこえたるか
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「もしあの砦へ、ふもとからかかって参るようだったら、そちは武将の資格なしと見ていたが、でもよく気がついた。なお精励せいれいせい、やがて、ひとかどになれるだろう」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然し、年々諸侯の勤めていることだから、自分だけやれない理窟はないし、それに、大きな修業にもなることだ、精励せいれいしよう、誠意をもって勤めよう、そう肚はきまった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下役が悲鳴をあげて、こう訴えるほど、甲斐守は、職務に精励せいれいした事もあった。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)