)” の例文
シバヤナギ、タチヤナギ、いろいろな名があろう、幹の皮は、皺だらけで、永年洗い落したことのない垢……青苔が、厚くこびりいている。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
たちのぼる惡氣岸にき、かびとなりてこれをおほひ、目を攻めまた鼻を攻む 一〇六—一〇八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「だッて、肩までいているじゃありませんか。また、酔ッぱらったんでしょう」
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
鼻を押しつけるようにして、乏しい灯でかして見ると、へな土が一面にいている。のぼさがりの草鞋で踏つけたものと思われる。自分は梯子の途中で、首を横へ出して、下をのぞいた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其処そこに花がいてゐたから取つたのよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
自分の肩にかけてくれた、樺の皮で一枚合羽が出来たのはよいが、その皮には苔もいている、蘭科植物も生えていたから、うしろからは老木の精霊が、森の中を彷徨さまよっているように見えたろう
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
谷がせばまるに随って、両崖の山は、互い違いに裾を引いて、脚部を水にひたしている、水はその爪先を綺麗きれいに洗って流れて行く、ノキシノブの、べったりといた、皺の皮がたるんだ桂の大木や
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)