米躑躅こめつつじ)” の例文
いずこの深山みやまにもある習いで、四季ともに花が絶えないので此の名が伝わったのでしょう。今は米躑躅こめつつじの細かい花が咲いていました。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大概山に渇している人でも、此山頂に半時間も過せば満足を得るであろうと思う。頂上には多少岩などもあって、米躑躅こめつつじが叢生していた。
美ヶ原 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
岩から岩を伝わって、或時は美しい米躑躅こめつつじの花を蹈みしだいたり、或時は密生した石楠の枝に引き留められ、其花の香に酔わされたりなどして、険しい山稜を西に辿る。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
牛王院山(御殿岩)へは尾根伝いに一時間半で行かれる。日光の女貌にょほう山を小さくしたような山で、岩間には米躑躅こめつつじが多い。枝沢山に続く尾根を西へ辿れば雁峠へ出られる。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
米躑躅こめつつじの類であろう、岩の襞に白い花を綴っているが、下を覗いただけで身顫いして引返した。東寄りの岩壁の間の急峻な空谷を草につかまりながら背向うしろむきにドッと辷り下りる。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
頂上から二十分ばかり黒木の中を北に進むと、尾根が痩せて大きな岩が露出し、木は拗けて丈がひくくなり、黒檜、米栂こめつが米躑躅こめつつじなどが多い。大菩薩連嶺中で最も異彩を放っている場所である。
初旅の大菩薩連嶺 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
しかるにそこは既に風雪の激しい山頂若しくは夫に近い所であるから、ぶななら七竈ななかまどまでが令法りょうぶや万作などと同じように灌木状をなして曲りくねっている中へ、米躑躅こめつつじ石楠しゃくなげなどが割り込み
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
こんな処にはきまって石楠、姫小松、黒檜、米躑躅こめつつじなどが生えているものだ。瘤のような岩の隆起をえてから、尾根の側面に沿うて下ると奥ノ平に出た。緩傾斜の地で、大きな椈の純林がある。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)