箒星ほうきぼし)” の例文
毎夜東の空に当って箒星ほうきぼしが見えた。たれがいい出したか知らないが、これを西郷星と呼んで、先頃のハレー彗星すいせいのような騒ぎであった。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
箒星ほうきぼし一つ空にあらわれても、すぐそれを何かの前兆に結びつけるような村民を相手に、ただただ彼は心配をわかつのほかなかった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのころ、毎夜戌亥いぬいの空に一つの箒星ほうきぼしが現われて、最初は長さ三、四尺で光りも弱いが、夜のふけるにつれて大きくなって行く。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
箒星ほうきぼしのお先走りでもうけたまわるつもりでいたし、一切の財産は軽少ながら、この真相の発表に対するお礼の印として、書類と一緒に一旦若林に預けて
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんなわけで、怪物はすっかり火になって空から落ちましたが、それが地にとどくまでに、夕方になったので、流れ星や箒星ほうきぼしと間違えられました。
それらを思い出しても、敬太郎から見ると、すべて森本の過去には一種ロマンスのにおいが、箒星ほうきぼし尻尾しっぽのようにぼうっとおっかぶさって怪しい光を放っている。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
坂を下りながら向うを見ると遠くの屋根の上に真赤なかたまりが忽ち現れたのでちょっと驚いた。箒星ほうきぼしが三つ四つ一処に出たかと思うような形で怪しげな色であった。
熊手と提灯 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
箒星ほうきぼしの尾のようにぼんやりまつわっていたのに相違ございません。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
毎夜東の空に当って箒星ほうきぼしが見えた。誰が云い出したか知らないが、これを西郷星さいごうぼしと呼んで、さき頃のハレー彗星すいせいのような騒ぎであった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
箒星ほうきぼしですよ。午年うまどしに北の方へ出たのも、あのとおりでしたよ。どうも年回りがよくないと見える。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)