竹生島ちくぶしま)” の例文
そこで手まえのあつかいますのは、近江おうみ琵琶湖びわこ竹生島ちくぶしまに、千年あまりつたわりました、希代きたいふしぎな火焔独楽かえんごま——はい、火焔独楽!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竹生島ちくぶしまは大分遠くから見えてゐたが、その邊まで來ると、一層明かに青い水の上に浮んでゐるのが見えて來た。
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
ごじしんは奥方の井の口殿をおつれになって、竹生島ちくぶしまへこもっていらしったこともあるそうでござります。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
竹生島ちくぶしま』の謡曲に緑樹りょくじゅ影沈んで魚樹に登る景色あり月海上に浮かんでは兎も波を走るか面白の島の景色やとあるは『南畝莠言なんぽいうげん』上に拠ると建長寺僧自休が竹生島に題せる詩の五
弁信のしゃべった通り、平皇后宮亮経正たいらのこうごうのみやのすけつねまさは、竹生島ちくぶしまで琵琶を弾じた時に、明神が感応ましまして、白竜が袖に現われたかも知れないが、弁信が六所明神で琵琶を奉納すると、白竜が現われないで
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あの島か、いやに縹緲ひょうびょうとしているね。おおかた竹生島ちくぶしまだろう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、一向。久しぶりで『竹生島ちくぶしま』をやって見ないか?」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「あれこそ、名高い竹生島ちくぶしまでござります」
十一月九日 竹生島ちくぶしま行、船上句会。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
昼は蓬莱山ほうらいさんの絵ともみえた竹生島ちくぶしまが、いまは湖水から半身はんしんだしている巨魔きょまのごとく、松ふく風は、その息かと思われてものすごい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わんほどの竹生島ちくぶしま見え秋日和あきびより
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
竹生島ちくぶしまもうで
ひとみをこらして見ていれば、さっさつたる怪影かいえいは、せきやまから竹生島ちくぶしまのあたりへかけて、ゆうゆうとつばさをのばしてうのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんどはふもとのほうへ降りて、湖岸から小舟をこぎ出し、竹生島ちくぶしまから八町ほど東のあたりで、ざんぶと湖底へ投げこんで帰った。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、いずこへ行きましょう。嵯峨さがの花見か、竹生島ちくぶしまへお舟で月見か」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
湖上の秋は、また格別、竹生島ちくぶしまなど、はや紅葉もみじしておりました。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)