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立初
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たちそ
種彦は何という訳もなく
瓦焼く
烟も哀れに
橋場今戸の河岸に
立初める秋の風情の尋ねて見たく
私が初めて札幌に行つたのは明治四十年の秋風の
立初めた頃である。
首尾の松の
釣船涼しく
椎木屋敷の
夕蝉(中巻第五図)に秋は早くも
立初め、
榧寺の
高燈籠を望む
御馬屋河岸の
渡船(中巻第六図)には
托鉢の僧二人を
真中にして桃太郎のやうなる着物着たる
猿廻し
家ごとに
焚く
盂蘭盆の
送火に
物淋しい風の
立初めてより、道行く人の
下駄の音夜廻りの拍子木犬の
遠吠また
夜蕎麦売の呼声にも
俄に物の哀れの誘われる折から、わけても今年は
御法度厳しき浮世の秋