うた)” の例文
旧字:
松坂まで行けば、この伊勢の出身者で、近ごろの鬼才とうたわれる神子上みこがみ典膳のいることは分っているが、武蔵は思い止まって、津で降りる。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親方様と諸共に肩を並べて世にうたはるれば、汝の苦労の甲斐も立ち親方様の有難い御芳志おこゝろざしも知るゝ道理、妾も何の様に嬉しかろか喜ばしかろか
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
うたって、公然と、会って会えないはずはございませんが、そこをわざとさし控えて、きょうまで、よい折を待っていた次第です
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親方様ともろともに肩を並べて世にうたわるれば、汝の苦労の甲斐も立ち親方様のありがたいお芳志こころざしも知るる道理、妾もどのように嬉しかろか喜ばしかろか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
表面はあくまで“寺院中立”の原則をうたって門を閉じておられるように——と、彼はそのむねをいま別当職まで申し入れて来たところなのである。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わっと、弥次馬は、ほこりをあげる。こんな喧嘩は毎日なのだ。だが、今のは酒の上や女沙汰でなく、双方が主名をうたってやった喧嘩だけに深刻だった。
それも、戦場にあって、留守勝ちとなるせいと、ひとつには、彼女の美貌の聞えがあまりに、諸大名の簾中れんちゅうでもまれなものとうたわれすぎているせいでもあろうが
御謙遜ごけんそんでしょう。大酒家の定評は、貴作の詩のように、隠れもなくうたわれておりますのに』
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだよ、驚いたの何のッて。だけど口から出まかせに、ありもしねえおふくろをうたって、哀れッぽく持ちかけたら、馬鹿な野郎さ、何とおれに十両くれて行っちまやがった。あははは」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とは、この退却を転進とうたって、全軍を励ましていた合言葉だが
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
は、大江たいこうの流れに沿うて、「江東の地」とうたわれている。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、道誉のうたい出しだった。