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福分
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ふくぶん
むかしは
貴族の家の長子に生まれると
福分を一人じめにすることができたが、今日の
労働者の家庭では、
総領はいちばん重い
責任をしょわされる。
そればツかりぢやアない、まア
此の
明治世界にとつては
尊い
御仁さ、
福分もあり、
運もあるから
開運出世大黒天さ。
烏滸がましうござりますが、従つて手前どもも、太夫様の
福分、
徳分、
未曾有の
御人気の、はや幾分かおこぼれを
頂戴いたしたも同じ儀で、
恁やうな心嬉しい事はござりませぬ。
人の欲しいと思うものを取ったところで、それは
己れの
福分にはならぬものじゃぞ。
まア
富貴楼のお
倉さんかね、
福分もあり、若い時には
弁天と
云はれた
位の
別嬪であつたとさ、
宅は
横浜の
尾上町です、
弁天通りと
羽衣町に
近いから、それに
故人の
御亭主は
亀さんと
云ふからさ。