祝融しゅくゆう)” の例文
孔明は翌日、陣中の檻房かんぼうから、孟獲もうかく祝融しゅくゆう夫人、弟の帯来たいらい、また孟優にいたるまでを、珠数つなぎにして曳き出し、愍然びんぜんと打ちながめて
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上野寛永寺うえのかんえいじの楼閣は早く兵火にかか芝増上寺しばぞうじょうじの本堂も祝融しゅくゆうわざわいう事再三。谷中天王寺やなかてんのうじわずかに傾ける五重塔に往時おうじ名残なごりとどむるばかり。
兵粮方ひょうろうかたの親族に死なれ、それからやむを得ず再び玄関をひらくと、祝融しゅくゆうの神に憎まれて全焼まるやけと相成ったじゃ、それからというものはる事なす事いすかはし
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ついに大日輪黄帝こうていやみと地の邪神祝融しゅくゆうに打ち勝った。その巨人は死苦のあまり頭を天涯てんがいに打ちつけ、硬玉の青天を粉砕した。星はその場所を失い、月は夜の寂寞せきばくたる天空をあてもなくさまようた。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
毅堂の随筆『親灯余影』の序に「丙午ノ春余昌平黌ニアリ祝融しゅくゆうノ災ニ罹リ平生ノ稿本蕩然とうぜんトシテ烏有うゆうトナル。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
孟獲、その妻の祝融しゅくゆう帯来たいらい、ほか一族などみな、家宅を捨てて逃げ出す途中を待って、蜀軍は一網打尽にこれを捕えた。けれど孔明は、孟獲以下、一家眷族けんぞくを、すべて解いて
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丙午ノ春、余昌平黌ニアリ。祝融しゅくゆうノ災ニかかリ、平生ノ稿本蕩然とうぜんトシテ烏有うゆうトナル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼の姉祝融しゅくゆう夫人も、その良人孟獲もうかくも、今はそれだけを一縷いちるの希望につないでいたところである。やがて八納洞のうどうの木鹿が数万の兵をつれて、市門へ着くと聞くや、夫妻は王宮の門を出て迎えた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)