磐石ばんじやく)” の例文
全く磐石ばんじやくのやうなもので、少々くらゐは突つついて搖つても、崩れるなどといふことは、想像も出來なかつたのです。
磐石ばんじやくを曳くより苦く貫一は膝の疼痛いたみこらへ怺へて、とにもかくにも塀外へいそとよろぼひ出づれば、宮はいまだ遠くも行かず、有明ありあけ月冷つきひややかに夜は水のごとしらみて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
手を伸すと、更に堅い巌が掌に触れた。脚をひろげると、もつと硬ばつた磐石ばんじやくが感じられた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
わからんかい、白痴たはけめが。)と、ドンとむねいて、突倒つきたふす。おもちからは、磐石ばんじやくであつた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わが沒理想は南山の壽の如く、かげず崩れざるべく、不壞金剛ふゑこんがう磐石ばんじやくの如く、芥子劫けしこふに亙りて依然たるべし。わが論は宇宙とおなじく、萬理想はおろか萬哲學系を容れて餘あり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
その外或はくろがねしもとに打たれるもの、或は千曳ちびき磐石ばんじやくに押されるもの、或は怪鳥けてうの嘴にかけられるもの、或は又毒龍のあぎとに噛まれるもの、——呵責も亦罪人の數に應じて、幾通りあるかわかりません。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
とはに磐石ばんじやく押し上ぐる
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
その外或はくろがねしもとに打たれるもの、或は千曳ちびき磐石ばんじやくに押されるもの、或は怪鳥けてうくちばしにかけられるもの、或は又毒龍のあぎとに噛まれるもの——、呵責かしやくも亦罪人の数に応じて、幾通りあるかわかりません。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)