-
トップ
>
-
知者
>
-
しるもの
圍爐裡の火の中へ
押込み如何にも酒に
醉潰れ
轉げ込で
燒死たる樣に
拵へたれば
知者更になし寶澤は
然あらぬ
體にて感應院へ
歸り師匠へもばゝが
厚く
禮を申せしと其場を
一疋殺し通仙が
表へ
建掛て置きしを夜中の事故一人も
知者なかりけり(南都にては
春日明神の
愛し給ふとて古へより
鹿殺は
科重しと云ふ)
翌朝所の人々見付けて
立騷ぐ聲を
兼た
飯焚の男一人在れど是さへも使に出たる後なれば
同胞如何なる
密談せしや
知者絶て無りけり斯て後庄兵衞は
翌朝五兩の金を
調達兄元益に
遞與しに此方は心得其金もて
質に入たる
黒紋附の小
袖羽織を