眼光がんこう)” の例文
かたわらのハンドルを廻すとカラカラと音がして、球形の天井が徐々に左右へ割れ、月光が魔法使いの眼光がんこうでもあるかのように鋭くさしこむ。
空中墳墓 (新字新仮名) / 海野十三(著)
龍太郎りゅうたろうしかり、小文治こぶんじしかり、蔦之助つたのすけ忍剣にんけんも、髀肉ひにくたんをもらしながら、四本のくさりでとめられた四ひきひょうのような眼光がんこうをそろえて両肱りょうひじっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その眼光がんこうのおそろしさ。年若いボーイはふるえあがって、思わず右のポケットの上を、なにかたいせつなものでもはいっているようにおさえるのでした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
双方そうほうしばしは天井てんじょう馬糧まぐさのなかとで、いきをこらし、らんらんたる眼光がんこうめあっていたが、やがてこれこそ、はりの上から鞍馬くらま竹童ちくどう、じッとかれなることを見さだめて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでいて眼光がんこう声音こわねから想像すると、まだ五十になったかならないか位らしい。
空中墳墓 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まだ竹童ちくどうのこんな必死ひっしな顔をかれは見たことがない。はりのうえにをかがめ、片手かたて横木よこぎにささえ、右手めて火独楽ひごまをふりかぶって、うごかば、いまにも発矢はっしと投げつけそうな眼光がんこう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)