真逆様まつさかさま)” の例文
旧字:眞逆樣
羽田飛行場がやられたとき、黒い五六機の小型機が一機づゝゆらりと翼をひるがへして真逆様まつさかさまに直線をひいて降りてきた。戦争はほんとに美しい。
続戦争と一人の女 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
見よ! あちらのへさきすがつた、或霊の腕のたくましさを! と思ふとこちらのともにも、シヤアロンのかいに払はれたのか、真逆様まつさかさまに沈みかかつた、或霊の二つの足のうら!
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「殿、覚えておはせ、御身おんみが命を取らむまで、わらはは死なじ」と謂はせも果てず、はたとかうべ討落うちおとせば、むくろは中心を失ひて、真逆様まつさかさまになりけるにぞ、かゝとを天井に着けたりしが
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
釣瓶は勢よく天へ引き上げられ、高く/\上がつたとき、どうしたはずみにかそのなはがきれて、子良は真逆様まつさかさまに地面へち、身体からだは形もないほどメチヤ/\にこはれてしまひました。
子良の昇天 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
枝が弓のやうに輪を画いて円く曲つたと思ふと、其枝はポツキと折れて大きな親猿は小枝を握つたまゝ二十間もあらうと思はれる高い所から、ドブン! と淵の中へ真逆様まつさかさまに落ちたのでした。
山さち川さち (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
出来るものならば、この天地を引裂ひつさいて、この世の中を闇にして、それで、自分も真逆様まつさかさまにその暗い深い穴の中に落ちて行つたなら、んなに心地がいだらうといふやうな浅ましい心が起る。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
素足すあしちらちら、真逆様まつさかさま
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私は必ず、今に何かにひどい目にヤッツケられて、叩きのめされて、甘つたるいウヌボレのグウの音も出なくなるまで、そしてほんとに足すべらして真逆様まつさかさまに落されてしまふ時があると考へてゐた。
私は海をだきしめてゐたい (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)