看守かんしゅ)” の例文
名案めいあんですな。ハルステッド刑務所けいむしょ看守かんしゅたちが知ってる男に、警察犬けいさつけんっておる男がいるそうですから、さっそく手配てはいしましょう」
わたしはそのばんねむられなかった。つぎの朝看守かんしゅは水のはいったかめと金だらいを持って、わたしの部屋へやにはいって来た。
看守かんしゅさえ今日きょうは歩いていない。その中にただ薄ら寒い防虫剤ぼうちゅうざいにおいばかりただよっている。中村は室内を見渡したのち、深呼吸をするように体を伸ばした。
早春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼にいて、この門まで足を運んだ背の高い看守かんしゅが、釈放囚しゃくほうしゅうの肩をぽんと叩き
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とかくする内看守かんしゅ押丁おうていら打ち寄りて、漸く氏家を磯山より引き離したり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
僕は今度は目のくりくりした、機敏らしい看守かんしゅに案内され、やっと面会室の中にはいることになった。面会室は室と云うものの、精々せいぜい二三尺四方ぐらいだった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
看守かんしゅが食べ物を持って来たとき、わたしは判事はんじの前へ出るのは、手間がとれようかと聞いた。
四宮理学士は、背丈はあまり高くはないが、色の白いせいか大理石の墓碑ぼひのように、すっきりした青年理学士で、物静かな半面に多分の神経質がひそんでいるのが一と目で看守かんしゅせられた。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
僕はこの門の前に立ち、長い半白はんぱくひげらした、好人物らしい看守かんしゅに名刺を渡した。それから余り門と離れていない、ひさしに厚いこけの乾いた面会人控室へつれて行って貰った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かれは顔をあらいたければ洗えと言って、これから判事はんじの前へ出るのだから、身なりをきれいにすることはそんにはならないと言った。しばらくしてまた看守かんしゅはやって来て、あとについて来いと言った。
天下は蟹の死をなりとした。現に死刑の行われた、判事、検事、弁護士、看守かんしゅ、死刑執行人、教誨師きょうかいし等は四十八時間熟睡したそうである。その上皆夢の中に、天国の門を見たそうである。
猿蟹合戦 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)