眉目秀麗びもくしゅうれい)” の例文
わけて信長は、色白く、眉目秀麗びもくしゅうれいで、何かにふと、きっと振り向く時など、ひとみの底から、きかない気の光が人を射ることがあった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのときのこの若くて眉目秀麗びもくしゅうれいな力士の姿態にどこか女らしくなまめかしいところのあるのを発見して驚いたことであった。
相撲 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
家柄のある家に生れたので眉目秀麗びもくしゅうれいで、如何いかにも貴公子然としており、立居振舞も鷹揚で、また品がよく奥床おくゆかしかったから
ともの優しい、客は年の頃二十八九、眉目秀麗びもくしゅうれい瀟洒しょうしゃ風采ふうさいねずの背広に、同一おなじ色の濃い外套がいとうをひしとまとうて、茶の中折なかおれを真深う、顔をつつましげに、脱がずにいた。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貧弱な下宿屋の鴨居かもいに頭がつかえる。風采ふうさい生地きじの学生時代にロマンスがあったという丈けに眉目秀麗びもくしゅうれいで通る。間瀬君ほど強度ではないが、矢張り近眼鏡をかけている。
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
世界じゅうでもっとも眉目秀麗びもくしゅうれい伊達男だておとこにさえ、いちべつもくれはしなかっただろう。
見物人は拍手喝采はくしゅかっさいした、すねあてとプロテクターをつけた肩幅の広い小原は、マスクをわきにはさみ、ミットをさげて先頭に立った、それにつづいて眉目秀麗びもくしゅうれいの柳光一、敏捷びんしょうらしい手塚
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
もうちゃんと、婿君むこぎみも極まっていた。布引銀行の社員で、眉目秀麗びもくしゅうれい才智縦横さいちじゅうおうの好青年、鳥井純一とりいじゅんいちというのが頭取のお眼鏡にかない、相互の耳にも入れて、もう吉日を選ぶばかりになっていた。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
老人も老夫人も頼もしそうに打目戍うちまもった。五尺七寸、眉目秀麗びもくしゅうれい、申分ないお婿さんだ。
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
年上の主人は、二十九歳だとかで、眉目秀麗びもくしゅうれいで、智慮ぶかい眸をしていた。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)