目垣めがき)” の例文
私のうちの庭は、わりに背の高い目垣めがきで、東西の二つの部分に仕切られている。東側の方のは応接間と書斎とその上の二階の座敷に面している。
小さな出来事 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
菖蒲畑の側にある木戸から、地境じざかいにある井戸まで、低い目垣めがき美男葛びなんかずらが冬枯もしないで茂っていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
玉石たまいしあたまから、すべりちた青竹あおだけを、くちをゆがめながらもとへなおして、おじいさんは、目垣めがきまえっていました。いたずらがきて、こうとするのだとおもったのです。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それだから、どの絵にもどの絵にも同じ目垣めがきのどこかの部分が顔を出していたり、同し屋根がどこかに出っ張ったりしている事になるのは免れ難い。
写生紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
たとえば目垣めがきでも屋根でも芙蓉ふようでも鶏頭けいとうでも、いまだかつてこれでやや満足だと思うようにかけた事は一度もないのだから、いくらかいてもそれはいつでも新しく
写生紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
今年は庭の烏瓜からすうりがずいぶん勢いよく繁殖した。中庭の目垣めがき薔薇ばらにからみ、それから更につるを延ばして手近なさんごの樹を侵略し、いつの間にかとうとう樹冠の全部を占領した。
烏瓜の花と蛾 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)