あた)” の例文
床の間の鹿の角の刀架かたなかけに一本の刀が飾ってあった。由平はそれを取って阿芳に斬りつけた。刀は外れてふすまあたった。其の音を聞きつけて婢が飛んで来た。
阿芳の怨霊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
只富貴をもて論ぜば、信玄しんげんがごとく智謀はかりごとももが百あたらずといふ事なくて、一三九一生の威を三国にふるふのみ。しかも名将の聞えは世こぞりてしやうずる所なり。
そして、彼にあたらず、後ろのものが胸を撃ち貫かれて即死した。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
引っこめてもらいたい。打とうと思ったところで、鉄砲などのあたるような者でもない、それに一所懸命に狙っておっては、わたしの云う事が判らないであろう
女仙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
さらばその人は作業なりはひ七九うときゆゑかと見れば、つとに起きおそくふして八〇性力ちからこらし、西にひがしに走りまどふ八一蹺蹊ありさまさらにいとまなく、その人おろかにもあらで才をもちふるに八二あたるはまれなり。
弾はその怪獣の手にした黒い器にあたるらしかった。備後は四発目を打ちかけた。
猫の踊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)