百千もゝち)” の例文
いざ行かむ、月おぼろなる夜は、われらが胸に翳せる白百合の香りこそ光らむ、そはまた百千もゝちの妖魔をくらます白金しろがねの剣ともなりて月光と共に競ふらむ……。
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
彼の大地が静かに永遠に抱き葬つた百千もゝちの霊魂とともに未来永劫にわたつて可能なる無限無数のまだ生れない生命とともに、さては地の喜びをわかつ空の星とともに
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
翌日あくるひはわれアヌンチヤタが爲めに百千もゝちの計畫を成就じやうじゆし、百千の計畫を破壞して、終には身の甲斐かひなさを歎くのみなりき。嗚呼、われはとカムパニアの野の棄兒なり。
因果の中に哀れを含みし言葉のふし/″\、横笛が悲しさは百千もゝちの恨みを聞くよりもまさり
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
百千もゝちをのこなやませし今小町とは
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
百千もゝちの草の落つるより
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
百千もゝちの色のさかづきに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
百千もゝちみだれ、白銀しらがね
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
二日過ぎて、ベルナルドオは我頸をいだき、我手をりていふやう。アントニオよ。今こそは我心を語らめ。桂冠の我頭に觸れたる時は、われは百千もゝちいばらもて刺さるゝ如くなりき。
思へば無情つれなの横笛や、過ぎにし春のこのかた、書きつらねたる百千もゝちの文に、今は我には言殘せる誠もなし、しあればとて此上短き言の葉に、胸にさへ餘る長き思を寄せんすべやある。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
百千もゝちの鳥のむれを出て
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)