トップ
>
白雨
>
ゆうだち
ふりがな文庫
“
白雨
(
ゆうだち
)” の例文
丑紅
(
うしべに
)
のような夕焼けが見渡すかぎりの田の面に映えて、くっきりと黒い影を投げる往還筋の松の梢に、油蝉の音が
白雨
(
ゆうだち
)
のようだった。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかし一度思い立った事を中途でやめるのは、
白雨
(
ゆうだち
)
が来るかと待っている時黒雲
共
(
とも
)
隣国へ通り過ぎたように、何となく残り惜しい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彫りかけて永き日の
入相
(
いりあい
)
の鐘にかなしむ程
凝
(
こ
)
り
固
(
かたま
)
っては、
白雨
(
ゆうだち
)
三条四条の
塵埃
(
ほこり
)
を洗って小石の
面
(
おもて
)
はまだ乾かぬに、空さりげなく澄める月の影宿す
清水
(
しみず
)
に
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
麻生の
方
(
かた
)
からざあと降り出した
白雨
(
ゆうだち
)
横さまに湖の面を走って、漕ぎぬけようとあせる釣舟の二
艘
(
はい
)
三ばい瞬く
間
(
ひま
)
に引包むかと見るが内に、驚き騒ぐ家鴨の
一群
(
ひとむれ
)
を声
諸共
(
もろとも
)
に掻き消して
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ある時、私は
母親
(
おふくろ
)
と一緒に疲れきって、草の上に転んでいると、急に
白雨
(
ゆうだち
)
が落ちて来た、二人とも起上る力がないのです。汗臭い身体を雨に打たれながら倒れたままで寝ていたことも有ました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
白雨
(
ゆうだち
)
の滝にうたすやそく
飯
(
い
)
板
(
いた
)
孟遠
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
仰ぐとぐるぐる
旋転
(
せんてん
)
しそうに見える。ぱっと散れば
白雨
(
ゆうだち
)
が一度にくる。小野さんは首を縮めて
馳
(
か
)
け出したくなる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白雨
(
ゆうだち
)
や
洞
(
ほら
)
の中なる人の声 畏計
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
僕の近所に
南蔵院
(
なんぞういん
)
と云う寺があるが、あすこに八十ばかりの隠居がいる。それでこの間の
白雨
(
ゆうだち
)
の時
寺内
(
じない
)
へ
雷
(
らい
)
が落ちて隠居のいる庭先の松の木を
割
(
さ
)
いてしまった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白雨
(
ゆうだち
)
や赤子泣出す離れ家 野角
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「君見たように
叡山
(
えいざん
)
へ登るのに、
若狭
(
わかさ
)
まで突き
貫
(
ぬ
)
ける男は
白雨
(
ゆうだち
)
の酔っ払だよ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
“白雨”で始まる語句
白雨雲