白芙蓉はくふよう)” の例文
上がり口に白芙蓉はくふようが五六輪、夕暮の秋を淋しく咲いている。見上げるむこうでは阿蘇あその山がごううごううと遠くながら鳴っている。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
双無塩ふたりのあくぢよひとり西施せいしかたるは蒹葭けんが玉樹ぎよくじゆによるが如く、皓歯しろきは燦爛ひか/\としてわらふは白芙蓉はくふようの水をいでゝ微風びふううごくがごとし。
車夫は呼交わしてそのまま曳出ひきだす。米は前へ駆抜けて、初音はつねはこの時にこそ聞えたれ。横着よこづけにした、楫棒かじぼうを越えて、前なるがまず下りると、石滝界隈かいわいへ珍しい白芙蓉はくふようの花一輪。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くつを売りむしろを織っていた逆境の時代——黄河のほとりにたって、洛陽船らくようぶねを待ち、母のみやげにと茶を求めて帰る旅の途中、曠野でめぐり逢った白芙蓉はくふようという佳人が、いまの糜夫人であった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
双無塩ふたりのあくぢよひとり西施せいしかたるは蒹葭けんが玉樹ぎよくじゆによるが如く、皓歯しろきは燦爛ひか/\としてわらふは白芙蓉はくふようの水をいでゝ微風びふううごくがごとし。