)” の例文
何故なにゆえとは知らず、ことごとく身はえて、手に持つ燭を取り落せるかと驚ろきて我に帰る。乙女はわが前に立てる人の心を読む由もあらず。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そののち他の獣風聞うわさを聞けば、彼の黄金丸はそのゆうべいた人間ひと打擲ちょうちゃくされて、そがために前足えしといふに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
人は詩人より新しき物を得んとせず、而も詩人に因りて眠れる心を覚まし、へたる腕をふるはんことを欲す。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
一人は足えの阿呆あほう、もう一人は足痿えの佝僂せむし、もう一人は足も達者で、利口すぎるくらいでございますが、女学生でして、もう一度ペテルブルグへ行くと申して、何でもネヴァ川の岸で
あかすこし付きてへたる絹物のあはせの襟こそなまめかしけれ
かろきねたみ (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
あな、氣疎けうとしや、いきほひはすべてえけり
あはれ今 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
暫時しばらくして彼方かなたより、茶色毛の犬の、しかも一そくえたるが、覚束おぼつかなくも歩み来ぬ。かねて和主が物語に、かれはその毛茶色にて、右の前足痿えしとききしかば。必定ひつじょうこれなんめりと思ひ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)