画筆ブラツシ)” の例文
旧字:畫筆
美禰子のかげが次第に出来あがりつゝある。ふとつた画工の画筆ブラツシだけが動く。それうごく丈で、みゝには静かである。ふとつた画工もうごく事がある。然し足音あしおとはしない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もうすこしで双方がぴたりと出合であつてひとつにおさまると云ふ所で、ときながれが急にむきを換へて永久のなかそゝいで仕舞ふ。原口さんの画筆ブラツシそれより先には進めない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「もう一時間ばかり」と美禰子もちいさな声で答へた。三四郎は又丸卓まるテーブルに帰つた。女はもうゑがかるべき姿勢を取つた。原口さんは又烟管パイプけた。画筆ブラツシは又動きす。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)