申訳まをしわけ)” の例文
旧字:申譯
とよは自分の身こそ一家の不幸のめに遊芸いうげい師匠ししやう零落れいらくしたけれど、わが子までもそんないやしいものにしては先祖の位牌ゐはいに対して申訳まをしわけがないと述べる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
此状で見ると将門が申訳まをしわけの為に京に上つた後、郷にかへつておとなしくしてゐた様子は、「兵事を忘却し、弓弦をゆるくして安居す」といふ語に明らかにあらはれてゐる。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
私は申訳まをしわけのない御無沙汰してをりましたが貴君あなたもお母様つかさんも御機嫌よくいらつしやりますかと問へば、いやもうわしくさみ一つせぬ位、お袋は時たま例の血の道と言ふ奴を始めるがの
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とても来月の学年試験には及第きふだいする見込みこみがないと思つてゐたところなので、病気欠席のあとへば、落第らくだいしても母に対して尤至極もつともしごく申訳まをしわけができると思ふからであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)