生醤油きじょうゆ)” の例文
横浜本牧ほんもくあたりでれたまきえびを、生醤油きじょうゆに酒を三割ばかり割った汁で、弱火にかけ、二時間ほどげのつかないように煮つめる。
車蝦の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
別に一種の薬味として青紫蘇あおじそ茗荷みょうがの子を細かに刻んだのを用意して置いて、鰹節かつおぶしをたくさんにかき込んで生醤油きじょうゆにそれを混ぜて、冷え切った豆腐に付けて食う。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すると僕の母はそれを見て、そっとその掻餅をはしで摘み取り、ぬるま湯で洗って、改めて生醤油きじょうゆをつけて、僕に与えました。僕は子供のうちから生醤油をつけた掻餅が好きだったのです
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
... 皮のまま生醤油きじょうゆへ一晩漬けておいて翌日あくるひ食べてもよろしゅうございます」小山
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ごりの佃煮とは要するに、高いごりを生醤油きじょうゆで煮るのである。それを十尾ばかり熱飯あつめしの上に載せて、茶をかけて食べるのである。
京都のごりの茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
少しも肉感を逆立さかだてない、品のいゝ肌質のこまかい滋味が、かの女の舌の偏執の扉を開いた。川海苔のりを細かく忍ばしてある。生醤油きじょうゆの焦げた匂ひもびて凜々りりしかつた。くしの生竹も匂つた。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
蛍雪は出来上ったものをむしって生醤油きじょうゆで食べると近来にない美味であった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)