玻璃窓はりまど)” の例文
「そうです……あいつは、ランプ室の周囲の大事な玻璃窓はりまどを、外から大石でぶち破って侵入したのです」
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
根岸肥前守ひぜんのかみ、岩瀬加賀守かがのかみ、荒尾但馬守たじまのかみ、筒井和泉守いずみのかみ、四代の町奉行に歴仕して、綽名あだなを「玻璃窓はりまど」と呼ばれたところの、郡上平八は呟いたが、急にニヤリと片笑いをすると
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ニースはランピア港の税関河岸がしを離れたコルシカ島行きの遊覧船は、粋士佳人を満載して、かもめまごう白き船体に碧波を映しながら、遊楽館カジノの大玻璃窓はりまどの中に姿を現わし来たる。
雨と晴れとの中にありて雲と共に東へ/\と行くなれば、ふるかと思えば晴れ晴るゝかと思えばまた大粒の雨玻璃窓はりまどを斜に打つ変幻極まりなき面白さに思わず窓縁まどべりをたたいて妙と呼ぶ。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
時刻ときにはひまあり、まうで来し人も多くは牧師館に赴きて、広き会堂電燈いたづらに寂しき光を放つのみなるに、不思議やへなる洋琴オルガン調しらべ、美しき讃歌の声、固くとざせる玻璃窓はりまどをかすかにれて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
この評判を耳にして一人雀躍こおどりして喜んだのは、「玻璃窓はりまど」の郡上ぐじょう平八であった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)