火焔ほのほ)” の例文
あゝ、教育者は教育者を忌む。同僚としての嫉妬しつと、人種としての軽蔑けいべつ——世を焼く火焔ほのほは出発の間際まで丑松の身に追ひ迫つて来たのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
灰のやうに白く乾き切つたそこらの土からいきれが火焔ほのほのやうに立ちのぼるのが、ちかちか痛いほど目に沁みて来る。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
火焔ほのほの様な雄弁でおべなすつた時には、何故なにゆえとも知らず聴衆きゝての多くは涙に暮れて、二時間ばかりの説教が終つた時には、満場だ酔へる如き有様でした
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
花薄荷はなはくか、燃えたつ草叢くさむら火焔ほのほしゝむら火蛇ひへびのやうなこの花の魂は黒い涙となつて鈍染にじんでゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ほほゑみて火焔ほのほも踏まむ矢も受けむ安きねむりの二人ふたりいざ見よ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
火焔ほのほの声をあげてぞ我が呼ばふ
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
火焔ほのほは平野を明るくせり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
火焔ほのほなす
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
火焔ほのほもちるとうたがはる
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
火焔ほのほもちるとうたがはる
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)