澤庵たくあん)” の例文
新字:沢庵
大根曳だいこひきは、家々いへ/\行事ぎやうじなり。れよりさき、のきにつりてしたる大根だいこ臺所だいどころきて澤庵たくあんすをふ。今日けふたれいへ大根曳だいこひきだよ、などとふなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「まア、やつて見な、無事に越せたら石は手前にやる。家へ持つて歸つて、澤庵たくあんの重しにでもするが宜い」
船具に使ふ太綱ふとづなで、人間の着物を着せた、でつかい澤庵たくあん石がブラ下がつてゐるとしたら、どんなものです
それでも、げつそりいたはらしるかけめしで五ぜんふもの厚切あつぎり澤庵たくあんでばり/\と掻込かつこんだ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平次はツイ、長火鉢ながひばちの向うから聲をかけました。入口の障子を開けると、家中が見通し、女房のお靜が、お勝手で切つて居る、澤庵たくあんの數までが讀めやうといふ家居です。
そのうちの幾つかはひさしの下にハミ出して、それが、お安の頭を打つたのでせう、わけても、澤庵たくあんの重しほどの三四貫もあらうと思はれる御影みかげの三角石は、蘇芳すはうを塗つたやうにあけに染んで
澤庵たくあん石の五六貫もあるのを井桁ゐげたへ載せて、轉がし落したらしいといふことです。
「あんまり鹽をきかせると、お前の顏は段々ヒネ澤庵たくあん見たいになるよ」
石松は死骸の傍に轉がされた、澤庵たくあん重石おもしほどの石を指します。
あきれた野郎だ、合の手が多くて話の筋が通りやしない、——お靜、冷飯の殘つたのがあるだらう。おかずの苦勞なんか要るものか、澤庵たくあんと目差しで澤山だとも、——さア話せ、赤塚の伜がどうしたんだ」