漆絵うるしえ)” の例文
金泥きんでいを置き墨のうえににかわを塗って光沢を出したものを漆絵うるしえと呼び、べに絵とともに愛玩されたが、明和二年にいたって、江戸の版木師はんぎし金六という者
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かくの如き手摺てずりの法は進んで享保に至り漆絵うるしえと呼びて黒色の上に強き礬水どうさを引きて光沢を出し更に金泥きんでいを塗りて華美を添ふるに至りしが、やがて寛保二
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
図のこなし方に大時代おおじだいの風があって、近頃の小器用な弱々しいものとは雲泥うんでいの差があります。雑器の一つではありますが、今描く漆絵うるしえとしては最も立派なものといえましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
漆絵うるしええがいてある一人乗りないし二人乗りの人力車がどれほど町にふえて来たと言って見ることもできないくらいで、四、五人ずつ隊を組んだ千金丹売せんきんたんうりの白い洋傘こうもりが動いて行くのも彼の目についた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
寛保かんぽう延享えんきょうの頃の漆絵うるしえ紅絵べにえには早くも西洋風の遠近法を用ひてたくみ遠見とおみの景色と人物群集のじょうとを描きいだせり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
元文より寛保延享寛延に至る頃奥村政信およびその一派の画工は室内の遠景を描ける大板おおばん紅絵べにえ漆絵うるしえいだせり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)