“漆壺”の読み方と例文
読み方割合
うるしつぼ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「しかも、今夜にかぎって、漆壺うるしつぼのような闇夜ときている。あきらめようじゃねえか。人為じんいは尽したぜ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どんづまりの真ッ暗な岩壁が、右側へ少しくぼみこんでいるらしい。その袋穴の漆壺うるしつぼみたいな狭い所に、人の眼らしいものがギラリと光っている。動かずに光っている。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間は西方の沢がすそをひいて、まるで漆壺うるしつぼのような闇の盆地を抱いている。淙々そうそうとして白きは水、岸々がんがんとして高きは岩、関羽や関平の駒は幾たびも石ころや蔓草つるくさにつまずきかけた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)