“うるしつぼ”の漢字の書き方と例文
語句割合
漆壺100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
御堂みどう格子扉こうしどへ、彼は顔をよせてみた。中は漆壺うるしつぼをのぞくようでなにも見えない。ガラリッと、彼の手から扉を引く音がひびくと、犬は、尾を振って、小次郎の足もとへおどって来た。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肉眼に見えぬ夜の空も、絶えず動いているものとみえまして、麓あたりでは漆壺うるしつぼのようだったのが、いつか、月こそないが冴え渡って、一粒一粒に星の光がけんを競っているようです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せめて、対手あいての風貌でも見ればだが、まったく漆壺うるしつぼのような天地——時折の稲妻は、ただ、そこに立った侍のどれもが、一様に覆面しているらしいのを、チラと見せたにすぎないのである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)