いさ)” の例文
西洋の船にならって造った二本マストもしくは一本マストの帆前船ほまえせんから、従来あった五大力ごだいりきの大船、種々な型の荷船、便船、いさぶね、小舟まで
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
都のお勤めからは手前もいよいよ身を引潮のいさり歌と云うわけで、……何となくすずろな憂身うきみをやつしておりました最中だったもんで、何と申しますか
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
月明の海上にチラチラといさり火のように見えだしたのも烏賊いか採り舟ではありません——、あれは関所のお船手と、早川番所につめている大久保加賀守小田原の人数です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、その中にたった一点、沖のいさのように赤く小さくまたたくものがある。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
〽沖に小さきいさり舟の、影かすかなる月の顔……
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)