トップ
>
清閑
>
せいかん
ふりがな文庫
“
清閑
(
せいかん
)” の例文
すると芸術を尊重する
仏蘭西
(
フランス
)
に生れた文学者も甚だ
清閑
(
せいかん
)
には乏しい
訣
(
わけ
)
である。日本に生れた僕などの不平を云ふのは間違ひかも知れない。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
原始的にしてまた未来の風景がこの水にある。船は
翠嶂
(
すいしょう
)
山の下、
深沈
(
しんちん
)
とした
碧潭
(
へきたん
)
に来て、その
棹
(
さお
)
をとめた。
清閑
(
せいかん
)
にしてまた
飄々
(
ひょうひょう
)
としている。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
清閑
(
せいかん
)
消シガタシ。
乃
(
すなわ
)
チ
巾箱
(
きんそう
)
ヲ開キ
客歳
(
かくさい
)
ノ詩ヲ閲シテ煩ヲ
芟
(
か
)
リ冗ヲ除キテ一百首ヲ得タリ。
窃
(
ひそか
)
ニ浪仙ニ擬シ詩ヲ祭リテ労ニ報フ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いかにも落着き澄ました、
清閑
(
せいかん
)
をたのしんでゐるといつた様子である。十吉はその
裾長
(
すそなが
)
の外套姿に、ふとカトリックの宣教師に似たものを感じた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
さていよいよその庭に至れば甚だ
清閑
(
せいかん
)
で従者
僕僮
(
ぼくどう
)
一人として
命
(
めい
)
に
違
(
たが
)
う者が無い。治者の言、明察にして断なるが故に、その政が
紊
(
みだ
)
れないからである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
三十日、
清閑
(
せいかん
)
独り書を読む。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
李九齢
(
りきうれい
)
は窓前の流水と枕前の書とに悠悠たる
清閑
(
せいかん
)
を領してゐる。その点は甚だ羨ましい。僕などは売文に
餬口
(
ここう
)
する為に年中
匇忙
(
そうばう
)
たる思ひをしてゐる。
野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
君は「
凡
(
およ
)
そ芸術と云ふ芸術で、
清閑
(
せいかん
)
の所産でないものはない筈だ」と云つてゐる。又「芸術などといふものはその本来の性質からして、清閑の所産であるべきものだとは思ふ」
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
少女はこの
一炷
(
いつしゆ
)
の
香
(
かう
)
に
清閑
(
せいかん
)
を愛してゐるのであらうか? いや、更に気をつけて見ると、少女の顔に現れてゐるのはさう云ふ落着いた感情ではない。
鼻翼
(
びよく
)
は絶えず震えてゐる。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
清
常用漢字
小4
部首:⽔
11画
閑
常用漢字
中学
部首:⾨
12画
“清閑”で始まる語句
清閑寺