)” の例文
あまり沢山いうて来たものですから、どうせ還してくれないにきまって居るとおもってその半額だけ手紙をけて下僕しもべに持たしてやりますと、大変怒ったそうです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
これが正門ですがね、締切りだから壁へいて廻るんですと云って、馬を土堤どてのような高い所へ上げた。右は煉瓦れんがの壁である。それがところどころくずれかかっている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宛然さながら金銀、水晶、瑪瑙めのうくだいたようであった。太吉は踏切番の小舎こやの前まで来ると、この汽車道にいて行けば早く高田へ着くと考えた。小舎は野中にあった。四辺あたりの林や、森は静かに眠っていた。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其赤い壁にけて、大きな棕櫚しゆろの木を五六本植ゑた所が大いにい。左り手のずつと奥にある工科大学は封建時代の西洋の御城から割り出した様に見えた。真っ四角に出来上つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)