深岳しんがく)” の例文
旧字:深嶽
いきなりパクリと竹童のおびをくわえ、わらか小魚こうおでもさらっていくように、そのまま、模糊もことした深岳しんがくの一かくへ、ななめさがりにかけりだした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、あたかも、深岳しんがくおおかみが、れをなしてさとへでるごとく、れつをつくって、てんおか石段いしだんくだりはじめる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お父上のご武運つたなく、ひとたびは織田おだ徳川とくがわのためにほろびこそすれ、まだその深岳しんがくのいただきには、甲斐源氏かいげんじはたりゅうときをのぞんでひるがえっておりまする
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「深夜しかもこの深岳しんがくだ、弦之丞のやつは山にこもって、血に狂したやぶれかぶれ、人と見たら盲目もうもくに斬りつけるだろう。とても、吾々にもあんな勇気はないよ」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、女になど触れたら、十数年、諸国の深岳しんがくで苦行した通力つうりきを一夜にして失ってしまう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)