浮々うき/\)” の例文
私は斯んな他愛もないことを、急に浮々うき/\と喋舌りながら、山荘を目ざして、辛うじて二人ならべるほどの近径から急坂を登つた。
タンタレスの春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
もちひて浮々うき/\とせし樣子やうすさてまこと悔悟くわいごして其心そのこゝろにもなりぬるかと落附おちつくは運平うんぺいのみならず内外うちとのものもおなじことすこまくら
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかし浮々うき/\もしてゐなかつた、何故ならあなたは殆んど希望を持たず、何一つ現實には樂しみがなかつたから。
し付けられ、しづみきツた反動はんどうで、恰で鳥の柔毛にこげが風に飛ぶやうに氣が浮々うき/\する。さけびしたくなる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
励まされて花里は顔をあげましたが、胸につかえて居ることがあるんで浮々うき/\は出来ません、両人ふたりとも無言で、ジッと顔見合みあわしておりますと、廊下にバタ/\と草履の音がいたした。
何故さう浮々うき/\してゐるのだか僕にはよく分らない。