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泣沈
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なきしづ
身に
纒ひ
何樣なる出世もなる
筈を娘に別れ孫を失ひ
寄邊渚の
捨小舟のかゝる島さへ
無身ぞと
叫と
計りに
泣沈めり寶澤は
默然と此長物語を
忍び今の身の
敢果なき
體を
喞ちつゝ
如何なる因果と
泣沈むにぞ文右衞門は
状を
正しコレお政其方は何とて其樣に
未練なることを
縊りて
死居るにぞお菊は驚き
周章て
縋り付涙とともに
呼叫べど最早
疾に事切て手足も氷のごとく
蘇生べきの樣もなければお菊の
愁傷一方ならずワツとばかりに
泣沈む聲を