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沈潜
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ちんせん
ふりがな文庫
“
沈潜
(
ちんせん
)” の例文
氏の表面は一層
沈潜
(
ちんせん
)
しましたが、底に
光明
(
こうみょう
)
を宿して
居
(
い
)
る
為
(
ため
)
か、氏の顔には年と共に温和な、平静な相が
拡
(
ひろ
)
がる様に見うけられます。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼はだんだんと自己に
沈潜
(
ちんせん
)
して行った。彼はもう、口さきや筆のさきでの運動なんかに興味を失った。彼は彼自身の道を行こうとした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
庵のなかには、めざす丹下左膳がまだ
沈潜
(
ちんせん
)
しているに相違ないがカタリとも物音一つしないのは、寝てか
覚
(
さ
)
めてか……泰軒と栄三郎期せずして
呼吸
(
いき
)
をのんだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
自己
沈潜
(
ちんせん
)
の深い
洞穴
(
ほらあな
)
から、急にあれ
狂
(
くる
)
う
嵐
(
あらし
)
の中におどりだして、胸を張り大声をあげて
叫
(
さけ
)
ぼうとしている自分自身を、かれはかれの全身に感じていたのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
かくては自分の名声とやらは
喧伝
(
けんでん
)
されるにきまっているが、彼は今、決してそんなものを求めていなかった。むしろ、もっと独りの
沈潜
(
ちんせん
)
と、独りの
黙思
(
もくし
)
とを必要としている。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「いえいえ龍は
沈潜
(
ちんせん
)
してこそ、尊くもあれば人にも恐れられ」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かれは、
椅子
(
いす
)
にこそ腰をおろしていたが、その姿勢は、あたかも
禅堂
(
ぜんどう
)
に足を組み、感覚の世界を遠くはなれて、自分の心の底に
沈潜
(
ちんせん
)
している修道者を思わせるものがあった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
“沈潜”の意味
《名詞》
深く水の底に沈むこと。
深く思慮すること。
何かに没頭すること。
(出典:Wiktionary)
沈
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
潜
常用漢字
中学
部首:⽔
15画
“沈”で始まる語句
沈
沈黙
沈着
沈鬱
沈湎
沈澱
沈淪
沈默
沈香
沈吟