氷見ひみ)” の例文
たとへば越中えつちゆう氷見ひみ大洞穴だいどうけつなかには、いまちひさいやしろまつられてありますが、そのあななかから石器時代せつきじだい遺物いぶつがたくさんにました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
富山方面の氷見ひみいわしの丸干しなども、いわしとしては優れた美味さを持つものであるが、所詮いわしの味としての美味さにすぎない。
小ざかな干物の味 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
氷室の前では、氷見ひみの役人が十人ばかり金杓子かねじゃくしを持って待っていて、順々に差しだす丼や蓋物におあまりの氷をすくっては盛りこんでやる。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
(私の大笹の宿という形があります。)その宿に、一人、越中の氷見ひみの若い男の、商用で逗留とうりゅう中、茶の湯の稽古けいこをしているのに、茶をもてなされたと記してあります。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
次にはこの県の氷見ひみ郡から、能登半島にかけてポットスズメという小児語がある。
越中の氷見ひみ町はむかし火見と書いたそうだが、あまり火災が頻繁に起こることより、みなみな申すには、「これは町名が悪いからである。もし氷見に改むれば必ず火事がなくなるだろう」
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
途中、氷見ひみみなとを通るとき、折からの満潮で、深さが見当つかない。義仲は、咄嗟とっさに鞍を置いた馬十匹を水の中に追い放った。水は丁度、鞍とはしとすれすれのところで、無事に十匹は向う岸に着いた。
あゆの大きいのは越中の自慢でありますが、もはや落鮎になっておりますけれども、放生津ほうじょうづたらや、氷見ひみさばよりましでありまするから、魚田ぎょでんに致させまして、吸物は湯山ゆさん初茸はつたけ、後は玉子焼か何かで
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)