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毛絲
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けいと
小娘は
何時かもう
私の
前の
席に
返つて、
不相變皸だらけの
頬を
萌黄色の
毛絲の
襟卷に
埋めながら、
大きな
風呂敷包みを
抱へた
手に、しつかりと三
等切符を
握つてゐる。……
しかも
垢じみた
萌黄色の
毛絲の
襟卷がだらりと
垂れ
下つた
膝の
上には、
大きな
風呂敷包みがあつた。その
又包みを
抱いた
霜燒けの
手の
中には、三
等の
赤切符が
大事さうにしつかり
握られてゐた。