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此樣子
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このやうす
僕は
子供心にも
此樣子を
見て
不審に
思つたといふは、
其男の
衣服から
風采から
擧動までが、
一見百姓です、
純然たる
水呑百姓といふ
體裁です
地獄で
佛に
逢たる心地なし世にも
情あるお
詞かなと悦び
臺所へ到りて
空腹の事ゆゑ急ぎ
食事せんものと見れば
何れも五升も入べき
飯櫃五ツ
竝べたり
飯も
焚立なりければ吉兵衞は大きに
不審し
此樣子では
大勢の暮しと見えたれども此程の大家に男は
留守にもせよ女の五人や三人は
居べきに夫と見えぬは