此処等ここら)” の例文
旧字:此處等
「いや、お前様まんさま手近てちかぢや、あかり掻立かきたつてもらひたい、くらいとしからぬはなしぢや、此処等ここらから一ばん野面のづらやツつけやう。」
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此処等ここらで出来る瓦や木材や米や麦や——それ等は総て此川を上下する便船びんせんで都に運び出されることになつて居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
お前さま先刻さきのほど、血相けっそうをかへてはしつた、何か珍しいことでもあらうかと、生命いのちがけでござつたとの。良いにつけ、悪いにつけ、此処等ここら人の土地ところへ、珍しいお客様ぢや。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
逢魔おうまどきくらまぎれに、ひよいとつかんで、くうへ抜けた。お互に此処等ここらは手軽い。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「何だ、人間の口の利方ききかただ?……ほい、じゃ、ありゃ此処等ここらの稲荷様か。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)