)” の例文
宮を造営するに先だつて、やしろをめ、神のゐる所を作るために、柱を立てるのである。もつと簡単なのは、め縄を張るだけである。
古代人の思考の基礎 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
所謂天降アモり着く神々に、自由自在に土地を占められては、如何に用心に用心を重ねても、何時神のめた山を犯して祟りを受けるか知れない。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
神の社といふのは、今見る社ではなく、昔は所有地を示すのには、縄張りをして、野をめた。其処には、他人が這入る事も、作物を作る事も出来なかつた。
古代人の思考の基礎 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
昔京の大原で、正月の門飾りには、竹と竹とにナハをわたして、其に農具を吊り懸けたものだと云ふ。
盆踊りと祭屋台と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其が更に、物忌みの徽章化したのが両蘰の類で、め縄・標め串と違はぬ物になつたのである。
明日よりは、春菜摘まむとめし野に、昨日も 今日も 雪はふりつゝ(同)
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
数年前「ヒガシ」の門徒が、此までかた門徒連のやつた宗風のすたれるのを歎いて「雑行雑修ザフギヤウザフシユをふりすてゝ」と言ふ遺誡をふりかざして、門松め縄を廃止にしようとした時は、一騒動があつた。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ひたへてめ縄の たわむまで、秋風ぞ吹く。小山田の庵(続古今)
早苗とる山田のかけひもりにけり。ひくめ縄に 露ぞこぼるゝ(新古今)
明日よりは春菜つまむとめし野に、昨日も、今日も、雪はふりつゝ
其以来此一党では、正月に餅を搗かぬの、め飾りをせぬのと言ふ。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
天子登極の式には、必北野、荒見川の斎場から標山といふものを内裏まで牽いて来たので、其語原を探つて見れば、神々の天降アモりについて考へ得る処がある。標山とは、神のめた山といふ意である。
盆踊りと祭屋台と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)